読者の感情を動かす 短編漫画のストーリー

短編漫画のストーリーで、読者の感情を自分の意図通りに動かせるようになるための、一見魔法のようだけれど、その実、わりと確実な方法を考察する時間

2014-01-01から1年間の記事一覧

美味しい飴玉を読者の口に放り込む 「ワンピース」を読む | 第10回

「ベタ」と「王道」の違いがはっきりとわかったので 前回、中間報告として、私自身がこのコラムを書く中で、長年疑問だった「ベタ」と「王道」の違いについて論じました。みなさんご納得いただけたでしょうか? 私としては、とても理解が致したので、今回は…

中間報告 読者の感情を動かすには「濃さ」と「そのコントロール」が必要なんじゃないか | 第九回

11年前の自分の教えたい 色々な事がわかってドキドキしています。 こんにちは。田中裕久です。このコラムをはじめて9回めを迎える訳ですが、何回やるかを決めていないので、ここらでひとまず中間発表的なことをしたいと思います。やー、読んでくれている人…

外部構成と内部構成のシンクロ度 「式の前日」と「片恋の日記少女」を読む(2) | 第八回

中村明日美子さん「父と息子とブリ大根」について 今回は主に、中村明日美子さんの「父と息子とブリ大根」という短編作品について考えます。この作品は、短編集「片恋の日記少女」の中の巻頭作品で、全7作の中でも出色の出来ばえです。

外部構成と内部構成のシンクロ度 「式の前日」と「片恋の日記少女」を読む(1) | 第七回

まず、「式の前日」から読みます あ、【ネタバレ注意】です 今回と次回は2回連続で、穂積さんの「式の前日」と中村明日美子さんの「片恋の日記少女」を読みます。そこで、「外部構成」と「内部構成」という耳慣れない概念の意味と、そのシンクロ度がいかに…

短編漫画の教科書 「夏目友人帳」を読む | 第六回

今更かよって話なのですが、ようやく「夏目友人帳」を読み始めまして。現在3巻の途中まで読んだところなのですが、面白いですね。各話、1話完結の形を取っているので、私たちがこれから描く短編漫画の参考に大いになるというか、多くの方にとっては教科書…

非リアルの舞台劇 「制服魔法みどりちゃん」を読む | 第五回

前回、ヨネダコウさんの人間描写がとてもリアルな漫画「どうしても触れたくない」を読んだので、今回はとびっきり非リアルな、水あさとさんの「制服魔法みどりちゃん」を読みたいと思います。

「リアルな」人間ドラマを構築していく 「どうしても触れたくない」を読む | 第四回

私が論じるまでもなく、このヨネダコウさんの「どうしても触れたくない」はBLの名作だと思います。実際に売れましたし、何しろ、「男同士の恋じゃないと描けない」切なさが詰まっています

主人公の信念の表出のリフレインと圧勝のカタルシス 「ドリフターズ」を読む | 第三回

「ドリフターズ」1巻がびっくりするぐらい面白かった事について 今回は、私がここ半年間読んだ漫画の中で、読んでいる途中で最も興奮した「ドリフターズ」を取り上げたいと思います。

キャラクターの魅力と、問題解決に向けた発想の飛躍が連動した時の気持ちよさについて 「GTO」を読む | 第二回

「GTO」で読者が一番始めに「感情を動かされる」シーン 今回題材として扱いたい「GTO」は、1997年2号から2002年9号まで週刊少年マガジンに掲載された藤沢とおるさんの代表作です。何度かテレビドラマ化され、その度に大きな話題になりましたし、続編も出てい…

読者の感情を動かす漫画を描こう | 第一回 

はじめに 久しぶりに、コラムの連載をしようと思います。理由はいくつかあって、今年の3月に2冊めの本のお仕事が終わり、漫画技術・技法についての僕の中のストックが無くなった(全てを出し尽くしました!)ので、新しい何かを考えなければならないのもあ…